《MUMEI》
忘れ物
翌日、出社すると大西課長に話しかけられた。


「昨日ありがとう。郵便、助かったわ」


そう言われギクリとした。


やばっ・・・
佐久間の部屋に置いて帰っちゃった・・・


「あれくらいのことならいつでも言ってください」


なんて誤魔化して、急いで佐久間に電話をする。




「ちょっと今どこ?」


「タクシーの中。どしたの見送りに来たくなった?」


焦ってる分、余計に佐久間の発言にイライラする。


「なわけないでしょっ!それより昨日の茶封筒、部屋に忘れちゃった・・・」


「あー」


佐久間の返事に、まさかと思い聞く。


「もしかして気づいて投函してくれた?」


「いや、してない。どこに置いたの?」


淡い期待はもろく崩れ去り、冷汗がながれる。


「棚の上だったかな。どうしよ。やばいよ・・・」


佐久間の帰国は来週・・・
さすがにまずい。


「愛加の会社に合い鍵とかあるんじゃないの?それで部屋に入りなよ」


そうだ!そうだった!


「そっか!その手があったわね。ありがとう☆そうするわ」


佐久間の一言でホッとし、胸をなでおろした。

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