《MUMEI》 その、あまりに汚い食べ方が、つい気になってしまった。 (あ〜、もう!我慢出来ない) 「和馬さん、付いてますよ、顔に」 「え〜、どこ〜?」 白々しい口調。 絶対気付いてるとわかっているのに、孝太に協力している手前、私は怒る事ができなかった。 (何か、あの時に似てる) 孝太に『限定版の為だ』言われて、俊彦に抱きつかれた時のようなストレスを、私は感じていた。 しかし、今回は、『物』ではなく、『人』の為だ。 (仕方ない) 私は、ため息をついて、和馬の顔に付いていた米粒を取った。 「ありがと」 パクッ 「…っ」 和馬が私の指に付いた米粒を食べた。 唇が指先に触れた。 「今日の蝶子ちゃん…」 「な、何?」 (孝太に協力しているのがバレた?) 「素直で可愛いな〜、やっと俺に惚れてくれた?」 「惚れてません」 「またまた〜、抵抗しないじゃん」 「そ、それは…」 「それは?」 和馬が私の手をギュッと握った。 顔が、近付いてくる。 (これも我慢しなくちゃいけないの?!) 調子にのった和馬の唇が近付いてきて、私は思わず目を瞑った。 前へ |次へ |
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