《MUMEI》
愛と裏切りの狭間で
――カッ…カンッ!……コン…



中島は4番を狙ってファウルを犯した後、ようやく口を開いた。



「磯野…

…もうすぐ……僕とカオリは…

…離婚することになりそうなんだ…。」



僕は、その話をカオリちゃんから事前に聞かされていた…。



「―――……。」


「驚かないんだな……?」


「いや――…

…言葉を失っちゃって…。」



僕は中島の唐突な指摘をかわすと、シガーを灰皿に押しつけチョークを拾った。

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