《MUMEI》

夕方、管理部にそっと忍びこんだ。


そして佐久間の部屋の鍵をそっとバッグに忍ばせる。


なんだか私・・・悪いことをしてるみたい。


そう思いながら心臓のドキドキが止まらない。


誰にも・・・見られてないわよね・・・


周りをさりげなく確認し、その場を素早く立ち去った。


ハァ〜。


たった数分のことなのに緊張したぁー


返す時も気をつけないと。





そして足早に佐久間のマンションへと向かう。




ここでは太一に気をつけないと・・・


管理部同様、また必要以上に周りを確認する。


よし。人気がないわ。
今のうち!


キョロキョロしながらマンションに飛び込んだ。


潜入成功。



・・・・・・。



なんだか私スパイみたい。


そんなことを考えながら自分の置かれている状況がおかしかった。


私、何してるんだろ?
馬鹿みたい。


そして佐久間の部屋に例の鍵を使って入った。


あったぁー!!!


こんな目立つ場所に置いてあるのに、なんで忘れちゃったんだろ?


そう思いながらも心が軽くなった。


とにかく良かった。
早くこれを投函しないと。


急いで佐久間の部屋を出て、鍵をかけようとすると声をかけられた。


「愛加?」

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