《MUMEI》

「その時、和馬の客が琴子の…本命の事を聞いて、学校帰りの琴子を呼び出した。

和馬と俺が駆け付けた時、琴子は和馬の客に殴られてた。

俺は琴子を助けて、和馬は客を抑えつけた。

客は、毎回和馬に大金を貢いでいた。

その女無しでは、ナンバーワンは狙えない。

要は、女の機嫌を損ねずに琴子の身に危険が及ばないようにすればいい。

だから、和馬は女に言ったんだ。

『あんなガキ、興味無いですよ』って。

それから、女をなだめて、琴子に事情を話すつもりだった」


「でも、琴子さん、言ったでしょう?『和馬なんて大嫌い』って」


私の言葉に、孝太は目を丸くした。


「よくわかったな」


「…何となくね」


私も同じだったから。


俊彦が、どんな事情であの写真を持っているのか考えもしないで、俊彦を傷付けた。


多分、琴子さんも和馬が言った言葉の事情を考えないで、言ってしまったのだろう。


「『アゲハ』を連れ戻す為っていう丁度いい理由があったから、傷心の和馬はそのまま姿を消した。

俺は琴子を傷付けた和馬を許せなかった。

ホストクラブの店長も居場所を教えてくれなくて、途方にくれていたら…」

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