《MUMEI》
「…だって私の事恥ずかしくてダチに合わせらんないんでしょ?イイの?」
「何言ってんだよ、羽鳥の奴俺に協力するって言っておきながら真菜ちゃんの事口説きに入ってたんだぞ?
つかゴメン、酷い事ばっか言って…、
もう余計な事言わない様に気をつけるから…
真菜ちゃんは自慢して連れて歩きたい、めちゃめちゃ美人だし…
つか一緒にいてここまで気楽な子って初めてあったっつうか――あ―俺何言ってんだろ、訳分かんなくなってきた…」
「ハハッ…――――帰ろ?」
すると真菜ちゃんから手をギュッと繋いできた。
「――うん、だけど」
「お兄ちゃんあんなんだけど心配してるかもしんないし、送って?」
真菜ちゃんのにっこり笑顔!
坂井さんの顔見てたら真菜ちゃん思いだしちゃってドキドキしちゃったんだよな…。
――やっぱ本人の方が…可愛いな。
もしかしたら俺より大きそうな手を握りしめ走って来た道をゆっくり戻る。
「メイクさ…」
「うん」
「ムリしてしなくても イイよ?」
「――――うん、本当はね、顔になんかついてんのって気持ち悪かったから…、イイの?」
俺が立ち止まると真菜ちゃんも立ち止まる。
「―――メイクなしの子って…、すっぴんで元気いっぱいな子って…、かなり…好きだったりしてさ…――――――ルージュ……、綺麗に取りきってないよ?、取ってイイ?」
「…うん…取って…」
本当はルージュなんてついてないんだけどね。
こんな嘘はありだよね?
触れるだけのキスの後、今度は少しだけ大人のキスをした。
正直家に連れて帰りたかったけど、お兄さんに会った後そうする訳にもいかないかなって…。
▽
――帰り道色々話した。
坂井さんと伊藤さんがデキてる事は一目瞭然で真菜ちゃんの嘘はバレバレだったとか、
やっぱり羽鳥がめっちゃ苦手なタイプだったからず〜っと黙ったままだったとか。
「俺さ〜、時々黙ってるときは妄想してっからさ」
「アハハハ!何?ど〜ゆう妄想すんの?」
「―――だいたいエロいこと」
アハハハ笑いながらデかい手でバチバチ叩かれた。
――多分冗談に取られたな。つかマジなんだけど……。
いや、でも実際に好きな子が傍にいてくれたら妄想の必要がこれからは無くなる訳だし。
―――そうだ
「…多分もう妄想はしないだろうけどさ」
「アハハハ!訳分かんないよ〜!」
頬にチュッとキスすると、少し間を置いて真菜ちゃんも頬にキスしてくれた。
名残惜しく別れ、家に戻るとやっぱり直ぐにメールしちゃったりして…
――俺にもやっと大切な子ができた!
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