《MUMEI》
手作りケーキ。
「あそぼっ!!!」
「おいかなた…」
「なぁに、はるか?」
「ケーキ焼いたんだけどよ…食べる?」
「わぁっ!うん♪」

趣味でケーキを作ってみた。

もはや自分で食べたいからなのか、かなたに食べて貰いたいから作っているのか分からねぇけど。

多分、後者の方だ。

「超おいし〜♪」

そう言って、かなたはいつも誉めてくれる。

「また作るぜ、何か作って欲しいものってあるか?」
「ホント!ぁ…でも…」

急にかなたの顔が曇り、自分の身体をさすりながらアホな事を言っていた。

「太っちゃうかも…」

そんな事気にしてたのかよ…。

「気にしないぜ俺は、お前が太っても」
「やだよっ!…恥ずかしいもん…」

そう言ってかなたはテーブルの下でギュッと拳を握っていた。

「太ってたって十分可愛いぜ、かなたは」

それに、双子の俺が言うのも何だけど…かなたは白くてフワフワな外見だから、少し太ったら更に可愛くなるかもしれない…。

「どんくらい太った?」
「やぁっ///」

嫌がるかなたのわき腹を触ってみると、双子の兄弟とは思えないくらいプニプニだった。

「……可愛い///」

ガターン!

「痩せる!絶対痩せるからっ!」

かなたは突然イスから立ち上がると、そう高らかに宣言した。

「…でもコレ食べてから」

そう言ってかなたは俺が作ったケーキを「やっぱり美味し〜い♪」と嬉しそうに頬張っていた。

だから俺は、かなたが喜ぶようなケーキをまた作ってやろうと思うのだった。

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