《MUMEI》

光二おじさんは会う度に父を傷付けるので、私は父と光二おじさんを会わせたく無かった。


そして、光二おじさんの怒りの矛先は、華江さんや友君にも向かった。


私は三人が傷付けられるのが見たく無かったから、一人で墓参りに来たのだった。


「蝶子ちゃんは、俺が嫌いなのかい?」


「いえ…」


嫌いというか、苦手だった。


「再婚相手といたくなくて、家を出たんだろう?」


「それは、違います」


私は、もう大人だし、自立しなければならないと思ったから、家を出たのだ。


「一人は、寂しいだろう?」


「…咲子さんが、父の妹さんの家族が一緒にいてくれますから」


私は寂しいとは思わなかった。


「それは、蝶子ちゃんの家族じゃ無いだろう?

俺は、蝶子ちゃんの家族になってあげたいんだよ」


ゾッとするような冷たい目で言われても、全然説得力が無かった。


「必要無い。蝶子は俺と新しい家族を作るから」


(えっ?)


孝太が突然変な事を言い出したから、私は水桶とバックを落としてしまった。


おまけに


孝太は私を皆の前で抱き締めた。


「ちょっ…」


「いいから、黙ってろ。
今だけだから」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫