《MUMEI》

七生のせいで散々苦労してるけど、




「――――――馬鹿、俺が七生から離れたことあったか?」

「キスしたり告白した時」

そこを突かれると痛い。

「……見て、七生にちゃんと抱きしめられてる。


七生が手を離しても俺がちゃんと捕まえてあげる。」

七生の足が俺を解放して絡まっていた腕も下着に滑り込んでいた手も引き抜かれた。
危機感は大分半減する。

やっと開きっぱなしの口腔が垂らした唾液や乙矢が弄り倒して溶かした雪塗れの腹を拭き取れた。

七生に向き直り正座する。赤い顔がアルコールの廻った度合いを知らせた。


「ほら、向かい合ったらすることあるだろ?」

「……せっくす?」

反射的に殴ってしまった。
「キスだろ馬鹿!」

どうしてこんな奴がいいんだろう。
鼻筋も通ってるし瞳が綺麗で声がイイのも認めてやる。

「痛い……馬鹿なりに、どうしたら二郎とより恋人らしくクリスマス過ごせるか考えてたんです……」

七生が俺の頬を触り唇に引き寄せてゆく。

「…………ンム」

返事をしながらベロチューに入った。

「まず、引きこもり二郎を外に出す。」

引きこもり言うな。
そしてベロチューを繰り返す。

「は……っ、……ンン――――――――」

触るのも気持ち良いけど、キスとは全然別物だ。
背後で弄られると七生の顔が見れないから。
七生が俺を見て唇を重ねて舌をつるりと入れてくれると安心する。

キスしながら触られようものなら俺は簡単にオチちゃうかも…………酒くさいけども。

俺、二十歳になるまで飲まないでおこう。



「…………で、
二郎を酔わせてちゅーして蕩かしたとこを…………喰う。」

咥内から唇へ舌が這う。
唇を甘噛みする。
そんな七生の働きに痺れつつその低俗な思考回路に底冷えしてきていた。
結局ソコしか考えてないのか。

「……手の内バラされたら来年も阻止するよ。」

全く、急な夜のお誘いだと思ったらそんな陰謀が絡んでたのか。
さっきのは欲求不満による弄り倒しだったのか。

「――――――あっ!」

気付くの遅いです……なんてお馬鹿なんでしょう。

「来年も酔っ払いの面倒見てやるよ。」

両手で七生を持ち上げ歩くのを促す。
千鳥足だか進んだ。


「……来年は……喰う。」

祭好きでハイになると一人で立てないくらい飲むくせに。

「はいはい。」

「本気らぞ!」

吹き出してしまった。
呂律回ってない。

「俺は来年もこのくらい馬鹿馬鹿しいのでいいかなあ……。」

その方が俺達らしいから。









――――クリスマス宴篇終

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