《MUMEI》 挨拶品な・・・なんで私の名前を書いてんのよっ!? うろたえそうな気持を抑えて、太一の言葉に返事をした。 「そうだったんだ・・・」 と、答えたものの内心はビクビクしていた。 太一・・・私と佐久間の関係をどう思ってるかしら・・・ そんな私の心を見透かしたように太一が聞いてくる。 「えっと・・・・・・愛加は、その・・・佐久間さんと・・・」 「知り合いなの!!!!」 私は太一の言葉を遮り、間髪を容れず一気に喋った。 「千夏の好きな人の友達が佐久間さんなのよ。で、佐久間さんが引越ししたいって聞いたから、それで私の会社でマンションを探したの」 いかにも引越しを機に知り合ったかのように言った。 「へぇー、そうなんだ」 「まぁ、そんな感じ」 言いたいことは言えたとホッとしたのも束の間・・・ 「で・・・、俺に渡したいものって何?」 うっ・・・ 「それは・・・引越しの挨拶品らしいわよ・・・」 そう言いながら私は背中から嫌な汗が噴き出していた。 前へ |次へ |
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