《MUMEI》
挨拶品
な・・・なんで私の名前を書いてんのよっ!?


うろたえそうな気持を抑えて、太一の言葉に返事をした。


「そうだったんだ・・・」


と、答えたものの内心はビクビクしていた。


太一・・・私と佐久間の関係をどう思ってるかしら・・・


そんな私の心を見透かしたように太一が聞いてくる。


「えっと・・・・・・愛加は、その・・・佐久間さんと・・・」

「知り合いなの!!!!」


私は太一の言葉を遮り、間髪を容れず一気に喋った。


「千夏の好きな人の友達が佐久間さんなのよ。で、佐久間さんが引越ししたいって聞いたから、それで私の会社でマンションを探したの」


いかにも引越しを機に知り合ったかのように言った。


「へぇー、そうなんだ」


「まぁ、そんな感じ」


言いたいことは言えたとホッとしたのも束の間・・・


「で・・・、俺に渡したいものって何?」


うっ・・・


「それは・・・引越しの挨拶品らしいわよ・・・」


そう言いながら私は背中から嫌な汗が噴き出していた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫