《MUMEI》
予想外
考えてみれば、実家なら、当然孝太の両親もいる。


それに、妹の琴子さんもいるなら、身の危険は無いだろうと思った。


「…和馬さんは、どうするの?」


「俺の部屋に泊まる。あいつはホストになる時に、勘当されてるからな。

…和馬の家はエリート一家だし」


「そうなの?!」


どちらかと言うと、孝太の方がエリート一家なイメージがあった。


「…多分お前の俺達の家族に対するイメージは、間違ってるぞ」


孝太はそう言って、私を実家に案内した。


孝太の実家は一戸建てだった。


『まだローンは残っている』と言っていたが、東京で一戸建てなら立派だと思える『はず』だった。


そう


隣の、『宗方』と表札のかかった大豪邸が無ければ


「こ、これ? 和馬さんの家?」


「アハハ!元だよ、元。さぁ、こっちこっち!」


そして、私は和馬に手招きされて、『宗方』の隣の『井上』の表札がかかった家の中に入った。


「「いらっしゃ〜い!」」

(?!)


玄関で私はハイテンションの中年夫婦に出迎えられた。


「うちの両親」


「えぇ?!」


孝太の言葉に私は耳を疑った。


「…いらっしゃい」


「わ!」

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