《MUMEI》 ――カッ…カンッ!…コン……コトン… 「なんで別れることになったのさ?」 僕はクッションを使って4番を沈めた後、白々しく彼に聞いた。 「さぁな――…僕にもよく解らないんだ。」 中島はグラス片手に壁に寄りかかり、首をひとつ捻った…。 「でも、何か理由があるはずだろ? キミが浮気でもしたとか――…?」 僕は、緑色の的玉……6番を狙いながら、とぼけて問いかける。 「まさか……僕は彼女を心から愛していたさ。あり得ないよ…。 でも―…しいて言えば…」 「――…?」 前へ |次へ |
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