《MUMEI》
千夏の思い
マンションを出たところで携帯が鳴っていることに気がついた。


千夏だ・・・


なんとなく誰とも話したくない気分だったが、電話に出た。


「もしもし愛加?今話しても大丈夫?」


「うん・・・」


どうせマンションから駅まで歩く間だけと思い返事をした。


「ちょっと昨日はビックリしたわよっ!まさか太一のマンションに佐久間さんが引っ越すなんて・・・」



「あぁ・・・」



「あのマンション、愛加が紹介したんでしょ?」



紹介したっていうか・・・


結果的には紹介したか・・・



「まぁ・・・条件に当てはまったし・・・」



「条件に合うからって元カレのマンションを紹介するなんて度胸あるわねぇ〜」



「私も悩んだのよ・・・」



悩んだ結果、紹介してしまったわけだけど・・・。



「しかも佐久間さんが太一に引越しの挨拶するって言うし!?」


「それには私もビックリしたわよ!!!」



千夏は「だよね!」とはしゃいだ後、少し声のトーンを落とし、


「佐久間さんの口ぶりから、てっきり太一とのこと話してるんだと思ったの。だから余計にハラハラしたわ・・・」


千夏は・・・
佐久間は太一が元カレと知ってて、挨拶に行くと思ってハラハラしてたんだ・・・


「でも言ってないのね・・・。付き合ってたこと・・・。どうして?」

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