《MUMEI》

彼女は城に幽閉された姫のようであった。

夢見心地で林太郎は茂みを歩く。
不注意で髑髏に足がぶつけてしまった。



「痛…………」

爪先に酷く響く衝撃。
林太郎は髑髏を触る。
ひんやりとした心地良い触感であった。

爪で弾くと其の硬度で骨とは別の物体と確信した。

林太郎は持ち上げようとするが一瞬浮かせた時点で止める。何処に一升瓶より重い髑髏があろうか。

「石か……」

よく形を模しているが白い石だった。
何故、此のように飾るのかは知れないが、冷静になれば何でも無いことであり胸を撫で下ろす。

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