《MUMEI》

1階からは微かにテレビの音が聞こえる。


冷たく静まりかえったこの部屋で、

オレは何度も何度も手を合わせた。


「ゴメン。」


声はきっと届いたはず。


オレもあなたの様に強くなりたい。


懐かしい香りが立ちこめる。


冷えきった部屋の中、

目の前のマグカップから暖かい湯気が揺らいでいた。


母はいつでも笑顔だった。

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