貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》欲情
ぐったりしている由自をそっと抱き起こす。
汗に濡れたTシャツを脱がしていく。
「ん………」
由自の身体は燃えるように熱かった。
引き締まった身体。ほどよく付いた筋肉。白い肌。
由自とは家が隣同士で、生まれた時から一緒だった。バスケットを始めたのは由自に誘われたからだったけど、後から聞いた話によると、理由はモテたいからだったらしい。
でも結局バスケにはまって、小・中・高と続けることになる。
それに目的通りモテた。筋肉や身体の美しさはもちろん、由自の元から持っていた美しさ、カッコ良さも手伝った。
しばらく運動らしい運動はしてないみたいだったけど、まだ筋肉は落ちてない。
………次は問題の箇所だ。いくぞ、由自!
「俊………。どう…したの……?赤い…顔して」
「しっ…してないよ!」
由自はクスッと笑った。
「いいんだよ…欲情してさ…。オレ……嬉しいんだから」
「何が!?」
「だって……今、オレ見てヤりたいって思ったでしょ?」
「いいから黙って寝てろ!」
由自の顔に枕を押し付け、ロクに見れないで拭くと、急いで着替えさせた。
「熱が下がったらいっぱいしような」
「お前の熱が下がり次第、オレは勉学とバイトに精を出す」
「えぇ〜オレには出してくれないの?」
「その“精”じゃない!!」
由自はおもしろそうに笑った。
オレ、からかわれてる?
「俊ってかわいいなあ」
「何言ってんだよ」
――ピンポーン
インターホンが鳴った。
由自は首をかしげる。オレは玄関へ向かった。
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