《MUMEI》 千夏はそう言った後、 「あ、ごめん……――」 すぐに謝った。 しかし私は千夏の気持ちを知ってショックで言葉が見つからない… 「愛加…ごめん。私……そんなこと言うために電話したんじゃないの……」 「分かってる…」 そう答えながらも、さっきの言葉が本音なんでしょ!と腹が立つ。 そして少し間を置いてから千夏が話し出した。 「私……佐久間さんと自分が重なって見えるの……」 「どうして……?」 「好きで自分から高橋さんに近づいたくせに気持ちを伝える訳でもなく…、かといって離れる訳でもなく…気づけばただの友達……。だけど片思いは密かに続行中……。ねっ、佐久間さんと似てるでしょ?」 千夏はそこまで言って私の返事を待たずに、 「だから、つい高橋さんに言えないイライラを愛加に八つ当たりしちゃった……ごめんなさい」 そう言って電話を切った。 千夏と佐久間さんは違うよ。 そして私は電車に乗った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |