《MUMEI》
ドア越しの涙
   〜栄実視点〜


どこを見るわけでもなく潤んだ視界をただぼ―っと眺めていた。


ドンッ――。


背中を預けていたドアから衝撃が伝わる。


そしてその衝撃と同時に海の声が耳に入る。


「くそっ・・・・・栄実。

何で出て来ないんだよ・・・!」


私は、唇をギュッと噛みしめた。


ドア越しに海の悔しさが胸に流れ込んでくる。


それが分かっていても私は何も出来ない。


・・・何もしてあげられない。


私は、ドアにもたれたまま止まることを知らない涙をまた流していた。


何で涙が出てくるかなんて考えずに


ただただ出てくる涙を流し続けた。

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