《MUMEI》

孝子さんのテンションはますます上がったようだった。


「ドラマみたいだね〜」


裕太さんがニコニコしながら言った。


このままだと、俊彦の事まで追及されそうな気がした。


「母さん、…私の料理は?美味しい?」


急に琴子が話題を変えた。

「もちろんよ!」


「父さんは?」


「もちろんだよ!」


「和兄は?」


「もちろん!」


「じゃあ、…静かに味わって食べて」


琴子の一言で、会話は止まり、皆黙々と夕飯を食べた。


「ありがとう、琴子」


私は小声でお礼を言った。

「じゃあ、後で一緒にお風呂入ろう」


琴子の笑顔に、私は迷わず『うん』と答えていた。

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