《MUMEI》




――六甲山からの夜景。



他にも何台か車が停まっていて中には抱きあいキスを交すカップルもいる。



俺達は木が少し邪魔をして夜景がはっきり見えない、他の車と離れたところに車を停めていた。




「秀幸は女の子と夜景見に来た事ある?」


「…そりゃーあるさ」



「――長く付き合ってたって人と?」



「―――好奇心だけで聞いてんなら何でも答えてやる。
けどな、嫉妬でなら聞くの止めとけ。
俺はお前以上に当然過去があるし、お前が聞き苦しい事もたくさんしてきた」




秀幸は灰皿に吸い殻をがさがさと入れた。



「――好奇心と嫉妬両方の場合はどうすれば良いと思う?」
「うーん…、そうだな、てか一番重要なのは今なんじゃねーのか?―――って俺思うんだけど。過去なんかどうあがいたって戻れねーんだし、どんなに頑張ったって先の未来にはいきなり行けねえ、
今現在夜景共有してんのは紛れもなく俺は裕斗とだし、ちょっと近づけばキス出来んのも裕斗だけだ」


「――うん」



俺は秀幸の頬に唇を押しあてた。


すると直ぐに同じくキスされた。


「――ただ、今までの過去と違う事が…起きてたりするのは事実だったりする」


「――――――」




――秀幸は真剣な表情で俺を見つめてきた。



俺は胸騒ぎがして胸がばくばくしてきた。





―――そして

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