《MUMEI》
入浴
「綺麗な足」


「そ、そう?」


琴子は無言で頷いた。


私達は今、脱衣所で、服を脱いでいた。


(…ていうか、私は足の事しか言われないけど)


琴子は私よりも綺麗だと思った。


サラサラの長い黒髪・孝太によく似た長いまつ毛と切長の瞳・華奢なのに…


(いいなぁ)


私は思わず自分の胸と琴子の胸を見比べてしまった。

琴子はウエストは細いのに、胸は大きかった。


(まぁ、あの和馬が好きな位だものね)


私は以前和馬が言っていた『俺はトータルバランスをちゃんと見てるよ』という言葉を思い出していた。


それから、先に服を脱ぎ終わった琴子がシャワーを浴び、湯船に入った。


私はその間に髪や体を洗った。


「髪、………短いのね」


「? うん」


琴子の言葉は中間に何か入った気がしたが、シャワーの音でよく聞こえ無かった。


次に、私は体を洗い始めた。


「兄さんの事は、いつから知ってる?」


「今年の三月かな?」


あれからまだ半年も経っていないのに、随分時間が経ったような気がした。


「…そう」


?


何故か琴子は、悲しそうだった。


そして、私はまたシャワーを浴びた。

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