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《MUMEI》 ◇◆◇ 雨垂れの音が聞こえ、それに誘われるようにして咲弥は外へ出た。 水面には幾つもの波紋が広がっている。 滴が白い花びらに当たり、跳ね返る。 濡れるのを気にも留めず、咲弥はその場に佇んでいた。 「‥‥？」 頭上に大きな布が掲げられ、雨が遮られた。 「草薙──‥」 やはり無言のままではあったが、その付き人は咲弥が濡れる事を防いでくれた。 「ありがとう」 その時咲弥には、草薙が、本当に微かにだが笑ったように見えた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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