《MUMEI》

どうしよう、適当に誤魔化すか?そんなわけないでしょ、って、こんなこと考えている間にも店長の顔は更に訝しげなものになる。嘘を吐こうにも咄嗟に思い浮かばない。やべぇよ、何かしゃべらないと

「えー‥‥、え、と」
「あーあーあー。いいよ、言わなくて」

何か言おうとすると、ひらひらと手を振って制止される。軽い口調だが若干本気のトーン、周りに転がる店員たちの屍を一瞥すると店長は俺にへらりと笑いかけた。見たことないけどたぶん、猫が笑ったらこんな感じだ。

「‥‥ちょっと外出ようか?」

優しくも有無を言わさない口調、逃げることすら無理目。今否定したって遅すぎる、よな。
俺は仕方なく頷いた。

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