貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
内田さん
覗き穴から見えたのは、隣人・内田さんだった。

すごくしっかりした人で、由自の美貌にもまったく惑わされない。

オレは慌ててドアを開けた。

「こんばんは。俊くん」

「こっ…こんばんは!どうされたんですか!?」

オレと由自の間で内田さんは恐怖の存在だ。

例えばゴミの分別から廊下の歩き方にいたるまでオレ達は注意されてきた。


「昨日は……あなた。今日は由自くん、風邪ひいてるみたいだから……ハイ」

「え…?」

内田さんが差し出したのは、大鍋だった。

「ふたり共ちゃんと食べてね」

「あ……っありがとうございます!」

それだけ言うと、内田さんは帰っていった。

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