《MUMEI》

 

「なあ、ヒカルって光りって書くの?」

何と無く聞いてみた。

「そうだよ」

「いい名前だな。」

「よく言われる。」

会話が上手く続かない。


「「あの……」」

声が被った。

「いいよ」

光に譲られた。

「俺、お前のこと好きだよ。よくわかんねーけど、お前の兄貴でいたい。」

人間として、好きだ。

「うん……兄弟ってこんな感じなんだってみきすねと居ると思ったよ。



嘘ついててごめんなさい。」

三つ指を立てられた。

「兄弟なんだから固くなることないだろ。」

「じゃあ……ごめん?」

首を傾げながら恐る恐る言う。

「そうそう」

頭を撫でてやる。

「秘密にしていたこと気にはしたけど許すよ。
兄貴に会いたかったんだ、よく連れて来てくれた。」

一生会わないと思っていたから。

「みきすね、国雄に何かされたでしょ。」

流石、兄貴とツルんでいられるだけのことはある。

「……バレたか。」

簡単に事の顛末を話してやった。



俺が喘息を持っていて空気が汚い兄貴の住む場所を尋ねに行ったときのことだ。

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