《MUMEI》

◇◆◇

「おお、そうだ」

 そう言って取り出したのは、甘栗の入った包み。

「嫌いじゃないよな?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

 半ば押しつけられるようにして、草薙は包みを受け取った。

「ちゃんと食えよ?」

「‥‥‥‥ああ」

 それが黒蝶の機転を利かせた気配りであるという事に、草薙は後になってから気付いた。

◇◆◇

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