《MUMEI》

「そ!…そんな―――…考え過ぎだよ…。」


「いや――……それくらい僕にだって判るさ………」


中島は虚ろな表情で、9番とコーナーポケットを結ぶ延長線上に手玉を置いた。


「笑えるだろ…?

…僕が一生懸命、仕事をしてる間も――…

――…彼女は……僕以外の男と寝ていたんだ……。」


中島は殺気立った表情でキューを構える…。


「僕が彼女に構わなかったばかりに、どこかの馬鹿野郎が、僕の大切な妻の心を奪ってしまったのさ!」


ガッ!…カンッ!!!


渾身の怒りと嫉妬を込めて放った手玉が、9番を貫いた!!

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