《MUMEI》 Wデート「環さん!こっちですよ」 「流理さん」 環さんが来るのを心待ちにしていた。 明日ミスター光岳コンテストに出場する替わりに、午後は2時間だけ遊んでいいという許可が出た。 「お…お久しぶりです……になりますよね?」 車椅子の有理に恐る恐る尋ねる環さん。 「そうだな。アンタと流理をくっつけたキューピッドだ」 「有理!!……環さん、紹介するね。オレの双子の弟の谷口有理」 「よろしくお願いしますっ!」 「それから有理の恋人の、野中早苗さん」 「野中…早苗さん?ってまさか……あの?」 環さんはオレの顔を見る。 「多分その野中早苗さんだと思いますよ」 野中さんもサングラスを少しだけずらして顔を見せてくれた。 「初めまして!夏坂環って言います。お会いできて嬉しいですっ」 「映画見ましたから知ってますよ。こちらこそ今日1日、よろしくお願いします」 環さんと野中さんはすっかり意気投合したらしく、オレと有理はのけものだった。 期限の2時間はあっという間に過ぎ、オレは教室に戻らないといけなくなった。 「明日も来てくださいね」 「あら…私明日ダメなんです」 「早苗、マジ?」 「仕事なの」 「じゃあオレは明日来れないな」 「明後日は大丈夫なんだけど……」 「じゃあ…私がお供しましょうか?」 全員の視線が環さんに向けられた。 「でも……環さんにそこまでさせる訳には」 「大丈夫ですよ」 「有理のお守り、まかせて大丈夫だと思いますか?野中さん」 「難しい…ですね」 「失礼なこと言うな!」 「大丈夫です!ね、有理さん。おとなしくしてられますよね!?」 「こ……っこの女」 「わかったよ。じゃあ任せます。明日迎えに来てやってください」 前へ |次へ |
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