《MUMEI》 ◇◆◇ 「ぇ‥‥?」 これだけ、とはどういう意味だろう。 刺青だけが自分の証しだと、遠い目をして言うのは何故だろう。 咲弥は茫然と黒蝶を見つめていた。 「あ‥‥悪いな、陰気な空気にしちまって」 黒蝶はさっきまでの表情が嘘であるかのような笑顔を作った。 そして、やはりその右手は、蝶の刺青が施されている部分に触れていた。 だが、黒蝶自身はは全くもって無意識なのである。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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