《MUMEI》 ◇◆◇ 子の刻を過ぎた頃。 黒蝶は髪を下ろし、ぼんやりと灯を眺めていた。 「‥‥‥‥‥‥」 ゆっくりと、左腕の上部に巻かれた布を解く。 現れるのは、彫り込まれた黒い蝶。 「───────」 そうっと右手を当て、力を込める。 安堵感を覚えつつ、黒蝶はゆっくりと瞼を閉じる。 そんな彼女の耳に、微かな風の音が聞こえた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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