《MUMEI》 お土産咲子さんが持ってきたのは、大量のお土産だった。 中身は、海鮮せんべいだと言う。 「あの…これ」 嫌な予感がした。 「配ってきて」 咲子さんは笑顔で言った。 私が『全部は無理』と言うと、半分は衛さんが配ってくれる事になった。 「あの〜、…『シューズクラブ』は明日でいいと思うんですが」 「駄目よ! そこは絶対に今日行ってね! あぁ、そうだ。 …多分、いつもと違うだろうから、驚かないでね」 「な、何ですか? それ」 また、嫌な予感がした。 「去年もすごかったのよね〜」 咲子さんは遠い目をしていた。 「何がですか?」 私は益々不安になった。 「大丈夫よ。…多分」 「多分て何ですか?!」 つい大声になってしまった。 「まぁ、行けばわかるから。あ、最後に行ってね。 遅くなっても構わないから。 …私も去年は結構遅くなったし。 じゃ、お願いね」 咲子さんはそう言って、大きくあくびをすると『ちょっと寝る』と言って寝室に行ってしまった。 「ごめんね。子供達の面倒と帰りの運転で疲れてるんだ」 衛さんはそう言って、半分ではなく三分の二のお土産を持った 前へ |次へ |
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