《MUMEI》
大きな子供
(…いないのかな?)


いくら声をかけても、中から返事は無かった。


試しに、裏口のドアノブを回してみた。


(開いちゃった)


「…こんにちは」


恐る恐る、中を覗く。


事務所は、とても静かだった。


机に顔をつけ、俊彦は椅子に座ったまま熟睡していた。


雅彦の姿は見当たらなかった。


(…疲れてるのかな?)


私はお土産の入った紙袋を置いて帰ろうとした。


「ん〜?」


俊彦が、顔を上げた。


「あ、勝手にごめんね。あの、これ…」


「…蝶子だ。あ〜、俺、いよいよ末期だな」


?


俊彦はふらつきながら、立ち上がった。


「蝶子の幻が見える」


「…大丈夫?」


私は紙袋を部屋の隅に置いて、俊彦に近付いた。


「喋ってる」


次の瞬間。


「ちょ、ちょっと!」


「やった、ラッキー。触れる」


俊彦が私を抱き締めた。


「お盆頑張ったご褒美だな」


「やだ!ちょっと、どこ触ってるの!」


俊彦が私のTシャツとキャミソールを捲り上げた。


「スベスベ…」


俊彦が私の肌を撫で回した。


「いい加減に…」


背中に手を回し、私のブラのホックを外そうとする。

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