《MUMEI》

数分後。


「…ゆっくり食べなさい」

私は二階にある自宅の台所で作ってきたチャーハンと野菜炒めと即席スープを事務所の机に並べた。


食べ物の匂いにつられ、俊彦と雅彦は既に着席していた。


「「いただきます!」」


ゆっくりと言ったのに、二人はものすごい勢いで食べ始めた。


「モグ…ごっ…めんね ングッ ちょ」


「話は食べてから」


米粒が飛んできそうな勢いで、話そうとする俊彦を私は止めた。


「グッ!」


「はい、麦茶。…ゆっくりね」


私はむせる雅彦の背中をさすりながら言った。


雅彦は頷いて、また食べ始めた。


(…さてと)


気になる事がある私は二階に勝手に上がった。


一階はリフォームされていたが、二階の間取りは昔のままだった。


(咲子さんの言ってたのは、ご飯と、これよね)


私は大量の洗濯物を洗濯乾燥機に入れ、スイッチを入れた。


階段を降りると、二人は空になった皿を舐めていた。

「こら!汚い事しないの!」


「「だって」」


「…玉子焼き、作ってあげるから。

ご飯無いけど、うどんあったから、焼きうどんなら作れるし」


玉子焼きは二人の大好物だった。

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