《MUMEI》

案の定、二人はすぐに大人しくなり、皿を置いた。


(まるで子供だな)


玉子焼きを焼きながら、私はため息をついた。


それをすぐに事務所の机に置いて、今度は焼きうどんを作り始める。


…二人が『こう』なるのは有名らしい。


うどんには、勇さんのメモが貼ってあった。


『きっとご飯だけじゃ足りないよ!

頑張って、お母さん』


「はぁ…」


きっと去年の『お母さん』は咲子さんで


今年の『お母さん』は私なのだろうと思った。


「「ねぇ〜、まだ〜!」」

「もうちょっと!」


私はその後も大きな子供達の面倒を見た。


(つ、…疲れた)


食器を片付けて、洗濯物をたたんで、お風呂を入れて…


夜食と朝食の準備をして


帰る頃には外はすっかり暗くなっていた。


「送ってくよ」


「…」


すっかり復活した俊彦に送られて、私は『クローバー』に戻ってきた。


「今日は、ありがとね〜
お盆の後はいつも『ああ』でさ〜」


「…そう」


私は、かなり疲れていた。

「消えちゃったね、ここ」

「…うん」


俊彦が、私の首筋を撫でた。


「また、付けようか?」


「…う、? い、いい!」

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