《MUMEI》 オレは気力だけでタンスの中や、 押し入れ、 小物入れ、 バックの中身を確認し銀行の通帳や印鑑の数々、 必要な書類を探しはじめた。 悲しみに浸れない現実がある。 母の葬儀が近ずくなか、 常に同時進行で負債返済の糸口を準備しなければならない。 オレは叔父と共に走りまわった。 何度も役所を往復したし年金センターにも赴いた。 同時に警察署にも行き、 検察庁では1から新たに調書を作成した。 兄の病院にも付き添った。 弁護士先生をたて今後の方針を定めたりもした。 そうした合間をぬって実家に帰り、必要な物を探し続ける。 オレは自分の部屋から必要最低限の物だけをまとめ、 見慣れない衣装ケースの山を確認した。 中は大量のアルバムとホームビデオだった。 母は写真を撮るのも好きだった。 知らないうちに、 こんなに貯まっていたんだな。 アルバムを手に写真を眺める、 そこには終わりのない華やかさが存在していた。 前へ |次へ |
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