《MUMEI》 アルバムの中から数枚の写真を取り出す。 母の仏壇に飾る写真。 どの写真にも明るい笑顔の母がいた。 最後に母に逢ったのはいつだろう? 最後に母と何を話した? 沸き上がる思いは悔しと後悔でいっぱいになる。 祖母が亡くなった時の、最初の感覚が蘇る。 家族をはじめて亡くした時の虚無感。 1人分の存在が心の中から消える。 1人分の存在が家の中から消える。 取り残された気持ちは例え難かった。 それから1年後、 祖父が亡くなり癒えない喪失感を更に大きくした。 たまに帰る実家も広く感じた。 今までと様子が違うのを本能が理解しはじめていた。 その時も考えていた。 最後に何を話したのだろう? オレは思い出そうとしていた。 前へ |次へ |
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