《MUMEI》 母の部屋で、カレンダーが目に入る。 毎年、 同じ形の小さなカレンダーが用意され、 母は日程などを手書きでチェックしていた。 相変わらずの殴り書き。 オレは懐かしさに少し笑んだ。 カレンダーは1月から変わっていない。 下ろし立てのカレンダーは1度も捲られずに役目を終え、 今もなおそこに在り続けた。 1月2日。 その日に丸がついている。 数枚の写真を包み、部屋を見回す。 母の眠る畳の上、 鮮やかな花束の 黄色と紫が美しかった。 前へ |次へ |
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