《MUMEI》 「……あ う 」 上手く言葉が出なくて怖ず怖ずしてる。 潤んだ大きな瞳が魅力的だった。 「何コレ生きてんのか?」 ベシィ 七生の平手により、某洋菓子メーカーの首振りマスコットの如く二郎の頭が揺れる。 七生は当時から無神経だった。 そして興味のあるものは積極的に見て触るという野生児であった。 「〜〜〜〜〜〜ふぇ……」 二郎は太郎の裾を集め顔に押し当てて泣き始める。 「泣くな二郎、我慢我慢」 太郎は二郎の涙を拭ってやる。 俺には太郎兄のポジションは羨ましかった。 七生達が野生なら木下一家は動物園の草食動物か。 「痛いの痛いの飛んでけ」 気休めにしかならないと既に信用しなかった呪いを使う。 二郎の髪はさらさらで、笑い方と同じに柔らかなかんじがした。 あまりに可愛くはにかみながら笑いかけたのでその瞬間、二郎に完全にオちてしまった。 もし、それを友達になりたいという感情で括られる子供だったら俺はまた別の道を歩めただろう。 恋と好意を区別するマセた餓鬼だった。 前へ |次へ |
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