《MUMEI》

今日の天気は快晴なのに。

私は、『同い年だから、きっと仲良くなれるわよ』というわけのわからない理由で、『シューズクラブ』へのバナナのパウンドケーキの配達と、『ベーカリー喜多村』へのお使いを頼まれた。


私は、先に、『ベーカリー喜多村』行った。


理由は、『新人さんへの挨拶代わりに』と、マンゴープリンとオレンジゼリーが三つずつ入った箱も持っていたからだった。


(何だか、賑やかだな)


新人が今日から入るという話はかなり有名だったのだろうか。


店内から、複数の声が聞こえてきていた。


…それも、男性ばかり。


(やっぱり、『シューズクラブ』のファンの女の子なのかな?)


私は少しうつ向きながら、店内に入った。


「こんにちは」


「やぁ、いらっしゃい。蝶子ちゃん」


レジにいたのは、香澄さんの夫の、光輝(こうき)さんだった。


「サンドイッチ用のパンだよね?」


「あ、はい。あとこれ、皆さんで…」


私はプリンとゼリーが入った箱を渡した。


(あれ…?)


店内を見渡しても、新人の姿は無かった。


代わりに


春樹さん・祐介さん・勇さんの三人が、厨房が見えるガラスにへばりついていた

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