《MUMEI》

◇◆◇

 すっかり夜が更けた頃、咲弥はまだ薄明かりの中で筆を走らせていた。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 だが、流石に瞼が重くなってくる。

「───────」

 かくん、と首が傾き、はっと我に返った。

(‥あと半分‥‥)

 明日の朝までには終わらせよう。

 そう固く心に決め、咲弥は綴られた一文字一文字を、丁寧に写してゆく。

◇◆◇

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