《MUMEI》
複雑な人間関係
「へぇ〜、新人さんて孝太君の妹で、和馬君の彼女なんだ〜」


私の報告を聞いて、咲子さんは目を丸くした。


「道理で今日弁当三つのはずだわ」


咲子さんの言葉の通り、厨房に貼られたメモは三人分だった。


「お得意様、減っちゃいましたね」


「まぁ、仕方ないわね。孝太君を取られなかった分、良しとしましょう」


私の言葉に、咲子さんは苦笑した。


「ところで咲子さんて、瞳さんと愛理さん以外の好きな人、知ってますか?」


「まぁ、大体は。…教えてあげられないけどね」


私は気になってはいたが、プライバシーに関わるので、『別にいいです』と言った。


「そう?」


「はい。あ、でも…」


私は薫子さんの好きな人は予想がついたから、咲子さんに確認してみた。


「よくわかったわね」


「七夕の時に、何となく」

私の言葉に、咲子さんは感心していた。


『そんな蝶子ちゃんにご褒美』と言って、咲子さんは教えてくれた。


「名前は教えてあげられないけど…

結子ちゃんは、結構両想いの確率高いと思うわ。

麗子ちゃんは…
難しいけどね」


私が二人の好きな人を知るのは、もう少し後の事だった。

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