《MUMEI》

「祐介さんと勇さんて、どうなんですか?」


「あの二人はね〜、『可愛い子は皆大好き』って軽い『好き』だからね〜

一応、『面白いから好き』って、彼女出来た時期もあったみたいだけど…」


「だけど?」


咲子さんはため息をついた。


「彼女出来ても相変わらず二人でいる事が多くて、結局振られちゃうのよね。

…もしかして!」


咲子さんは何か思いついたようだ。


そして、真剣な表情で…


「実は二人で付き合ってたりして」


「まさか、男同士ですよ」

私は笑った。


「え〜、でも、嫌々ながらも二人で花火大会デートしてたし」


「咲子さん。…面白がってません?」


私の言葉に咲子さんは、『わかった?』と悪戯っぽく笑った。


「…だったら面白いなぁーって話で女性陣で盛り上がった時期があってね」


「はぁ…」


私は少し祐介さんと勇さんに同情した。


(早く彼女できたらいいなぁ)


そうしないと、本人達の知らない所で大変な事になりそうだから。


「じゃあ、OPENにして来るわね」


「あ、はい」


そして『クローバー』は久しぶりに営業を開始した。

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