《MUMEI》

谷田さんに誘われたマッサージは、凝り固まった俺の体を素敵にほぐしてくれた。




「いやぁ〜谷田さんに誘ってもらって良かったですよ!かなりスッキリしました」


ほぐしコースと足つぼコースの施術を受け、俺は大満足だ。


そして谷田さんも・・


「俺も少し肩が軽くなったような気がする・・・なんか回しやすいもん」


そう言いながら肩を回し、調子を確かめている。


男二人でマッサージの感想を真剣に語りながら会計に向かった。




「それでは5,250円ずつになります・・・」


受付嬢の言葉と共に谷田さんは一万円をポンッと出す。


そして俺は・・・



あれ・・・?



「大槻・・・どうした?」


財布の中を何度も見る俺を見て、谷田さんが心配そうに聞いてくる。


「いや・・・ちょっと・・・」


金が足りないなぁ・・・


そんな言葉のならない俺の思いを谷田さんは察して、


「貸しといてやるよ」


と言ってくれた。


「あ、じゃあ千円ほどお借りできますか・・・」


そして俺は谷田さんから千円を借りた。


あと千円だったのに・・・

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