《MUMEI》

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硬質な震動音で意識が浮上した。
カーテンを締め切った部屋は寒くて暗い。布団からはみ出た足は死人のように冷えていた、あわててひっこめると、ぐにゃりとした毛布だけが温かい、一番心地いい体温と同じ温度。
ずいぶんと静かな薄暗い空間に、小刻みに机の上で震える携帯だけが自己主張している。15回のコールで留守電に切り替わる、も、再びうなる小さな機械、無視するにはうるさくて微睡む神経を逆撫でする。

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