《MUMEI》
乙矢10歳
最近俺は物足りない。

二郎が欲しくて堪んない。

けど、二郎は俺がそんな邪まな人間だと受け入れてくれないだろう。

だってそういうのから俺が嫌煙させて俺が守って信用を築き上げてきた。




「七生が彼女出来たんだ。俺達と遊んでくれないのは寂しい。」

素直に二郎は俺へ相談する。隠し事はしない。

好きな相手が俺や七生の事が好きだとか、体が成長したということまで報せ合った。
二郎は隠し事をしない。
俺だってしない。

俺が二郎を考えて欲しているのが信用だけじゃないこと以外。

七生もそうだ。あれなんて年中明け透けだ。
知りたくもないのにいちいち報告してくる。

七生が色恋に突っ走るようになってからはやや二人の時間が増えて嬉しい俺。

……一生お前は女の尻追い掛けてればいい。

二郎は七生にやたらと憧れを抱いているせいか付いて回る。
ジャンケンで例えるなら俺は二郎に弱く、二郎は七生に弱く、七生は俺に弱い。

七生を口や腕力で捩伏せられるが七生は二郎を盾にする。


そんな阿呆なやり取りも嫌いじゃないがやっぱり二人でいる時間が何より最優先だ。

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