《MUMEI》
爆弾発言
「後は私一人でできるから、いいですよ」


「じゃ、お先に」


「ありがとうございました」


祐介さんは嬉しそうにホールに向かった。


私は冷蔵庫から、小さめに切り分けてあるレアチーズケーキと、ラズベリーソースを取り出した。


一皿一皿盛り付けて、ソースをかけて、生クリームをしぼり出して行く。


(よし、出来た)


「さ…」


咲子さんに声をかけようとした時。


ホールから悲鳴のような、興奮したような、妙な声が上がった。


(な、何?)


私が厨房からホールに出ていくと…


「蝶子!」


俊彦に両肩を掴まれた。


「な、…何?」


驚く私に、俊彦は意を決したように確認した。


「琴子ちゃんと、お風呂、一緒に入ったって…本当?」


「あ、うん」


(女同士だし)


別に答えても問題無いと思った。


しかし、俊彦の次の質問で、私は『しまった』と思った。


「それって、…いつ、どこのお風呂で?」


「…



お盆休みに



琴子の、家で」


遠回しに言ったが、それはつまり


琴子の兄の


「孝太の実家って、事、だよね」


「そうだ」


私のかわりに孝太が答えた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫