《MUMEI》
新たな三角関係
「「どういう事?!」」


「え…?」


私を問い詰めたのは、俊彦と


「…麗子、さん?」


私の言葉に麗子さんはハッとなった。


「あの、つまりね、私は皆を代表して訊いてるのよ」

「まぁ、甘い物でも食べて、落ち着きましょうか?
準備出来てるわよね、蝶子ちゃん」


「あ、はい」


私はバタバタと厨房に向かった。


「「あ、手伝う」」


祐介さんと勇さんがついてきた。


「じゃあ、片付けるか」


克也さんの言葉に、薫子さんと春樹さんが同意した。

「もう、麗子ったら。代表して訊くのは私の役目でしょう?」


「…ごめん」


瞳さんが笑いながらフォローしているし、他の女性陣も至って普通に接しているが…


私は


気付いてしまった。


麗子さんの好きな人が


孝太だという事に。


(どうして、気付かなかったんだろう)


帰ってきた挨拶に行った時も


前髪を揃えてもらう時も


お土産を渡した時も


いつ行っても、『岸美容室』でかかっていた曲は


孝太の好きなアーティストの曲だったのに。


私は、平静を装いながらも、内心かなり動揺していた。

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