《MUMEI》
キョウカ 〈おれ〉
学校は、やっぱり人が少なかった。


教室に入ると、



「おはよ、かなめ!」



青木が先に来ていた。



「おす、あお―しょうちゃ、ん…??」


「…なんで疑問形??」



…だって、慣れてないんだもんよ―…



「ま、座りなよ!!」



青木が、自分の前の席を指差して言う。

ちなみに、そこが蓬田の、現、おれの席だ。


おれが素直に座ると、



「今日は何のキョウカ??」



と、青木に訊かれた。



―…は??キョウカ?



「…キョウカ??って??」



おれが聞き返すと、



「…あんたホント、最近大丈夫??
―…教科よ!今日は、何の勉強すんの、って訊いてんの!!」


「べ、」


ベンキョー!?


…やだよ、なんでおれが



「いつも早く来て、勉強してんじゃん。…今日はしないの??」



…聞いてねえよ!!



「いや〜…はは…
今日は、休みにする」



笑って誤魔化すと、



「?へえ??…変なの」



青木に、不思議そうな顔をされた。



壁の時計に目をやる。



そろそろ、来る頃かな…



蓬田、大丈夫かな…

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