《MUMEI》
応援 〈私〉
まだ静かな学校に着く。


教室の前に来ると、



「…かなめ、あんたは西城先輩が好きなんだからね??西城先輩、よ?
―…絶対、諦めちゃだめよ??」



祥ちゃんの、声。


私のこと、そんなに応援してくれてたんだ―…


すごく、嬉しくなった。



椎名くんと祥ちゃんの会話が途切れたところで、教室のドアを開ける。



「おはよー」


「あ、おはよー!椎名君。また早いね!!」


「あ―…まあ、ね」



答えながら、
祥ちゃんの向かいに座る椎名くんに目を向けると、


また、うつらうつらとしていた。


よく寝るなあ…



なんだか微笑ましくて、自然に笑みが零れた。



すると、



「もー、かなめ!!なに寝てんの!!」



と、祥ちゃんに起こされた。



「…すんまへん」



ぼーっとしたまま答える椎名くん。



…まだ眠いんだ。



やっぱ、かわいいなぁ…


あ、外見とか、そういうことじゃなく。


…なんていうか、仕種とか、雰囲気とか―…


そういうのが、柔らかくて。


それで、それに『かわいい』っていう言葉を当てはめてみたの。


閉じかけた目を開けようと必死になる椎名くん。



―…『かわいい』、よ、うん。

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