《MUMEI》

―トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…チャ…


長いコールの後、電話は繋がった。



*「――はい。もしもし…?」


愛しい声が僕の疲れを浄化してゆく…。


「カオリちゃん……僕だ……。」


*「―――磯野くん……」


「…いま、大丈夫かい…?」


*「―――えぇ…。」


国際回線による会話の間がもどかしい…。



僕の背中に翼が有ったなら、今すぐ地球の反対側まで飛んでゆき、彼女を抱きすくめたいところだ…。

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